【2021成績】

22試合　防御率2.90　1勝1HP1S　31回　17被安打　2被本塁打　20奪三振　奪三振率5.80　16与四球　4与死球　10失点　10自責点　被打率.167　K/BB1.25　WHIP1.06

前半戦と後半戦で全くの別人のような投球をして、涙のプロ初勝利に辿り着きました。

昨年の敗戦処理の成果からの飛躍を期待しましたが、前半戦ははっきり言ってクソでした。一昨年までと変わらない愛人枠投球で連続死球とか迷惑なことしかやらずに、左右に揺さぶるのがただ当てているだけでした。前半戦の投球を見たらこのまま2軍の帝王か辻発彦愛人枠呼ばわりされて終わってしまうだろうと思いました。

しかし、後半戦は前半戦とは別人になります。2軍落ちしてからも腐らずに好投し続けて、後半戦は再び1軍敗戦処理から再スタートとなります。そして9月のロッテ戦、今井投手が3回KOされて4回から登板、その試合は2回1失点ながらもはちゃめちゃだった試合を立て直して、味方が逆転してこの試合でプロ初勝利を挙げます。報徳学園高校時代に甲子園出場、立教大学では中継ぎで活躍するも故障に悩まされて6位指名でライオンズに入団、そして入団してからも結果が出ずに「監督愛人枠」「俺達」「2軍の帝王」と散々な評価を受けてきましたが腐らずに投げ続けて、苦節5年目でたどり着いプロ初勝利です。その瞬間、田村投手は男泣きして涙のプロ初勝利インタビューを受けました。

そこから一皮剥けた田村投手は安定した投球で信頼を得ていき、最終盤には平良投手に代わって9回を任せられて、プロ初セーブも記録します。最後の日本ハム戦では途中登板からサヨナラ負けを喫しましたが後半戦は14試合登板で防御率1.31、この活躍ぶりはよく頑張ってくれたと見でいい内容でした。

これまでの田村投手はシュートとカットボールで左右を揺さぶる投球スタイルですが、今シーズンは変化がありました。球種割合でシュートはわずか1.19%、事実上シュートは使わなくなったという形になります。昨年の球種割合でシュートは28.24%ですが被打率.419と打たれまくっていたので、もしかしたらシュートを封印したかもしれません。

一方でナックルカーブがちょっと増えたかなぐらいでカットボール、チェンジアップはほぼ同じ、変わったのはストレートですね。ストレートが今シーズンは53.47%と半分以上を占めています。そのストレート被打率.218と悪い数字ではなく、カットボールとチェンジアップは被打率1割未満に抑えるなど、全体的に球威アップに成功した形が見られます。ストレートの球速も150km前後を安定して記録するようになったので、着実にパワーアップが数字として表れるようになりました。この投球スタイルの変更とパワーアップが見事に功を奏しての後半戦の活躍だったと言えるでしょう。

当然ながら来年は勝ちパターンとしての活躍が期待されますが、個人的にはまだビハインド担当までと見ています。理由は最後の日本ハム戦、同点の9回0アウト1塁から登板、直後に柘植選手の悪送球でピンチ拡大してバントと申告敬遠で1アウト満塁、ここで松本選手に押し出し四球でサヨナラ負けとなりました。この場面で田村投手に0に抑えろというのは酷な話ですし、田村投手に責任はありません。ただ、最後の押し出し四球ですが、ストレートが外れまくってカウント3-1となり、相手はストライクゾーンのストレート狙いになります。ここで田村投手は押し出しは嫌だが打たれるのも嫌だという中途半端なストレートを投げて結果は押し出し四球でサヨナラ負けになりました。

ここで打たれてもいいからストライク勝負か一か八か空振り狙いで変化球を投げるか出来ればサヨナラ負けでも評価は変わりますが、ここでお決まりのサヨナラ四球を出してしまっては「俺達」と変わりありません。最後に絶体絶命の場面でさらに殻を破った姿を見たかったですが、それが来年の課題として残りました。

被打率.167、WHIP1.06は普通に優秀な数字ですが奪三振率5.80、K/BB1.25と奪三振率の低さと与四球の多さに改善の余地があります。ストレート空振り率7.04%、チェンジアップとカットボールは空振り率10%以上を記録していますから、問題は決め球とそこにたどり着くまでのカウント整理です。捕手の配球含めて使える球種は複数ありますから、それをどう組み立てていくか、奪三振率が上がれば勝ちパターンに一気に近づくと思います。契約更改の上げ幅が渋かったのも勝ちパターンでないからです。まずは来年勝ちパターンとしてプロ初ホールドを記録して、来年こそは本当に飛躍してもらいたいと思います。

よければポチッとひと押しお願いします！